感想
ドラマ化されたりと話題のFalloutシリーズの記念すべき第1作をクリアしました。
ストーリー
核戦争によってすっかり変わってしまった世界。
地下シェルターVault13で暮らす主人公は、ある日シェルターの浄水チップが故障したことをきっかけに地上への探索を命じられる。
チップを手に入れるために荒廃した世界を旅していくうち、人類を脅かす新たな脅威が徐々に生まれつつあることを知り、次第に旅の目的はそちらへと変化していくのであった。
プレイ時間
クリア時間はだいたい20~30時間ほどですが、寄り道せずにメインクエストのみを追いかけるのであれば10時間足らずでクリアできるかと思います。
良かった点
素敵な世紀末
核戦争後の世界というポストアポカリプス物に該当される本作ですが、ゲーム自体の雰囲気も荒廃した世界を見事に表現しています。
当然のように辺りを闊歩するクリーチャー、まともな人間を探すほうが難しいほどヤバそうな奴らが揃ったNPCたちと、少し散策するだけで世紀末なFalloutの世界を味わうことができます。
最初は主人公の住んでいた地下シェルターとその近くの崩壊した別の地下シェルターしかワールドマップに表示されていませんが、各地を探索することでだんだんと世界が広がっていく感覚は冒険している感があって非常にわくわくさせてくれます。
しかも、目に見える世界が広がれば広がるほどその荒廃っぷりが強まっていくため、より一層ヤバさが強まっていくのが素晴らしい。
高い自由度
最初こそ浄水チップを期限内に入手するという目的に追われることになりますが、それをクリアしてしまえばあとは最終目標を達成するまで自由に行動することができます。
さっさとゲームクリアまで進めるのもありですし、各地に用意されたイベントやサブクエストを丁寧に消化してもいいです。
ゲームをクリアする手段も1つだけではなく、ちゃんとラスボスを倒す以外にも、野望そのものを論破することによってそのまま生きる意味を失わせることもできますし、そもそも直接会うことなくエンディングを迎えることさえできます。
シナリオにおける正攻法こそありますが、それ以外にも抜け道が用意されているのが楽しく、人によって十人十色の物語を送ることができるでしょう。
ゲーム開始時のキャラメイクでは様々なステータスを割り振ることができますが、これによってキャラクターの特徴を好きに作ることができます。
なんでも拳で解決する武闘派で行くもよし、まともに戦うのではなく口先だけでやり過ごすもよし、強力な装備を盗みによって稼いだお金で手に入れる卑怯者になるもよしとロールプレイが楽しめるようになっています。
悪かった点
大味なバランス
自由度は相当に高いですが、ゲーム自体のバランスは正直かなり大味なところがあります。
例えば最初のキャラメイクでは各ステータスを色々と調整することができますが、ここで配分を間違えるとゲーム後半で詰むことになります。
わかりやすいところではIntelligence(知能)のステータスが一定以下だとそもそもまともに言葉を発することができなくなるため、NPCとのやり取りは拳で語る以外できなくなりますが、Charisma(カリスマ)はNPCの印象を上げることができると書いてあるものの実質意味のないステータスになっていたりします。
戦闘においてもどれだけ鍛え上げたところで運悪くクリティカルに入ってしまえば途端に即◯することになりますし、逆にこちらの当て所が良ければ強敵もあっけなく倒すことができたりします。
また、イベントにおける成功判定も内部ダイスロールによって決められるため、難なく突破できるかそのままバッドエンド直行かのような極端な展開も見られたりします。
そのせいで、どこでもセーブできてしまうシステムと相まって失敗したら即ロードのような作戦を取るしかない状況もあるので注意が必要です。
慣れてくればむしろ強力すぎるスキルには縛りを入れたりとバランスを自分で調整して楽しむこともできますが、初見では最初の段階で詰んでいることに気づかないまま進行してしまうかもしれません。
現代だと不便なシステム
そもそもが90年代のゲームということで、今プレイするとなると不便に感じるところが多々あります。
いじることのできる設定においても、移動速度や戦闘速度はデフォルトだと遅すぎる上、明るさに至っては最大まで上げても場所によってはかなり見えにくいところがあったりします。
個人的に特に不便だと感じたのはドアの開閉と買い物でした。
建物に入る際など開ける機会の多いドア。毎回ドアをクリックしないと開けることができないのはまだいいのですが、場所によっては鍵がかかっているため解錠する必要が出てきます。
その際は解錠スキルを使う→成功したら鍵が開く→もう一度ドアをクリックするとドアが開くとなるのですが、この解錠後にまた開ける動作を挟むのが地味にストレスに感じました。
また、場所によってはドアのクリック判定が狭いところもあり、そこで鍵がかかっていたりすると特にストレスフルです。
一番面倒だったのが半自動ドアで、通る際は手動で開けるのですが、これが主人公が通るとすぐに閉まるのが厄介で、そこを通りっぱなしならいいものの、基本的に帰り道も同じところを通ることになるので、ひたすらプレイヤーにとって手間を強いられるだけのドアになっているのが気になりました。
買い物に関してはやり取りがことごとく手動で、物々交換で等価にするのであればいいのですが、ゲーム内通貨で購入する際には一度に最大999枚しかコインを移動できないため、1万枚分の買い物をする際にはコインを999枚相手側に移動する作業を10回以上行う羽目になります。
また、1か999以外の数字に関しては手打ちで入力しないといけないため、買い物のたびにこの端数の入力をちゃんとやらないといけないのがとにかく面倒でした。
ちなみに大雑把に買い物しても、相手側が得する状態であればそのまま決済できるのですが、1円でも損する場合は取引を断られるため、打ち間違いすると非常に手間です。
総じて現代基準で見るとどうしても色々無駄に手間がかかると感じる場面が数多く存在するかと思います。
総評
そもそも90年代のゲームということもあって、今でも楽しめるのか最初は不安でしたが、Falloutというゲーム自体の魅力は現代においても十分に楽しめるものであると感じました。
とはいえ、今となってはやはり不便に感じる要素も多く、そこはどうしても昔のゲームではあるなという感想にはなります。
また、Fallout自体が日本での知名度が3以降生まれたものであるため、いざ快適にプレイしようとすると日本語での情報の少なさを強く実感しました。
英語で調べればものすごく詳細な攻略ガイドが出てきたりもするのですが、翻訳ソフトを使うにしてもそれが手間に感じる人のほうが多いでしょう。
ただ、今になってわざわざFallout1をプレイしようなんていう人だったらそこは大丈夫だと思いますし、ゲームとしての面白さは明らかに優れたものであると思うので、昔のゲームをプレイしてみたいと思ったら余裕で選択肢に入るレベルのクオリティに違いありません。
興味があればこの素晴らしい世紀末にぜひ足を踏み入れてみてください。