【クリア感想】Fallout: New Vegas

3.5

Fallout:New Vegas(NV)をクリアしました。

まず言っておきたいのが、初代から順番にプレイしてきた上で面白さであれば本作が個人的には一番ということです。Falloutシリーズの最高傑作と言ってもいいくらいに。

ただ、じゃあ人におすすめできますか? と言われたらノーです。

なぜか?

あまりにもバグ、フリーズ、クラッシュが多すぎる。

本当に・・・本当にひどかった。ゲーム自体は面白いのに、そこで評価が大きく落ちるという悲しみ。

ということは後述するためひとまず置いておいて、本作のプレイ時間は本編全ルート+全DLCクリア+全ロケーション制覇を達成した時点で120時間ほどでした。特に寄り道せずに本編をさっとクリアするだけであれば各ルート15時間程度で済むでしょう。

運び屋である主人公が、自身を葬ろうとした人物を探すために旅に出る中で、次第に世界の命運を握る事態に巻き込まれていく……というのがおおまかなストーリーですが、どの勢力に肩入れするかでルート分岐が発生し、エンディングが変化します。

共和国としての正義を掲げるNCR、数多の部族を従え世界の統一を目論むLegion、技術で世界を支配しようとするMr.House、そしてどの勢力にも属さないイエスマンという全4ルートを選択することができます。全ルートをクリアした感想としては個人的な面白さで言うと

イエスマン>Mr.House>NCR>Legionといった感じでした。

ただ、どのルートを選ぶにせよ、本作においての判断基準は「どの勢力が正義なのか」ではなく「どれが一番マシに見えるか」だったりします。どいつもこいつもどっかおかしいので

ルートと感想

NCR

おそらくプレイしていくうえで多くのプレイヤーがとりあえず選びそうな勢力がNCRのはず。

そもそもの歴史も長く、本作では最大勢力として君臨しています。勢力としては一番まともというか普通なので、道中でもお世話になる機会が数多く存在します。

しかし、上層部は割と腐敗しているようで「前線で頑張ってる人たちは良い人なんだけど、上の奴らがなぁ・・・」という感じ。エンディングとしても現代社会的で丸いですが、同時に息苦しさも感じるため、面白い世界にはならないわな、という終わり方でした。

Legion

どう考えてもこいつらが善人なはずがない、と思うであろう勢力。

元インテリがCaesarという独裁者を名乗り、文明の発達していない部族を暴力的に隷属させているため、ごく一部の存在を除いて、彼らは世紀末特有のヒャッハーとした存在です。

運び屋としてプレイする中で良いイメージを持つことはまずないと思うので、ルートとしても一番人気がないみたいです。ただ、実際Legionルートを進めていくと彼らなりの哲学もわかるため、限りなく悪人ではありますが、けっこう面白かったりはします。

ただ、最終決戦の難易度は個人的に一番難しく感じました。Legionは本当にただの蛮族でしかないので、味方として見ると本当に戦力にならないんですよね。敵が銃を持っているのになぜ君たちは槍で向かおうとするのか。他のルートだと自軍が敵の軍勢をあらかたなぎ倒してくれるので道を開けるのも容易なんですが、Legionルートだとあっという間に自分たち以外が全滅するので、これは無双ゲーか何か? という感覚に陥りました。

Mr.House

200年以上生きながらえながら、Stripを裏で支配している存在。ロボット軍団によって世界を平和に統治することを理想に掲げており、NCRやLegionと違って1人で勢力として成立しているという天才。

天才科学者ということで、攻略ルートも運び屋の手を借りて他勢力を上手く利用しながら最終的に実権を握ろうとするという巧みさ。

最終決戦ではパワーアップを果たしたロボット軍団が戦場に投入されるため、そのさまは実に圧巻。三大勢力のなかでは個人的に一番面白いルートでした。

また、クエストをこなすたびにちゃんと褒めてくれたり報酬もしっかりしているので、やりがいは感じやすいかと思います。

イエスマン

どの勢力にも属さない第4のルート、というよりどの勢力とも敵対してしまったときにクリア不可能にならないための救済措置としての側面もあるルート。

1周目から選択するのはあまりおすすめしませんが、2周目に選ぶと非常に楽しい。

言ってしまえば主人公が世界を支配すればいいのでは? というルートなので、各地に存在する中堅勢力たちをどう扱うかを選べてしまえるのが面白いところ。

三大勢力をまとめて相手することになるため手間はかかりますが、達成感もその分大きいです。

DLCと感想

Dead Money

ラジオにホイホイ釣られて向かった先で捕らえられてしまい、他にも捕まった3人の奴らとともにカジノに眠る財宝を手に入れるために奔走するという内容。

二度とやりたくないです。

最初から最後までストレスたっぷりで構成されているので、とにかくやっていてイライラしました。クリア後に怒りで頭痛がしたのは良い思い出です。

おそらく本編をやり込んでレベルや金が十分に集まっているプレイヤーにも緊張感を味わってもらおうとしたのか、自由度を下げる縛りが数多く用意されているのが特徴です。

一通り挙げると、

開始時にアイテムを全没収(これはまあ許せる)

爆弾付きの首輪が取り付けられるため、スピーカーの範囲内に一定時間滞在するとゲームオーバー(???)

体力が減少し続ける毒霧エリアが各地に存在する(???)

マップ中に敷き詰められた大量の罠

敵は2種類。部位破壊しない限り何度でも蘇るゴーストピープルと無敵のホログラム(???)

といった具合で制限だらけなのが本当に良くない。

ホラゲーとして見れば楽しめるのかもしれませんが、それをFalloutという自由度が売りのゲームでやりたいと思うか? という。

一応、それぞれのストレス要素にも対処法はあり、罠や回復アイテムに関しては特定のperkを取得しておくことでほぼ完全に対策可能だったり、現地調達である関係で弾薬を入手しづらいことから近接系のスキルを重点的に振っておくとゴーストピープル相手は楽になるのですが、本編だとそこまで必要ではないperkをわざわざ取得してあるのか、大体のプレイヤーは銃火器メインでスキルを振っていることのほうが多いだろということで、このDLCのためにキャラ作り直したほうがいいくらい本編と求められる要素が異なるという点がこれまたストレス。

特に終盤のスピーカー+ホログラム地獄はもはや開き直りすら感じるほどに清々しいほどストレス要素のミルフィーユを作り上げており、なんだこれ……こんなゲーム何が楽しいんだよ、と思いながら怒りという原動力で前に進んでいました。

ただまあ擁護できる点としてはストーリー及び舞台の雰囲気は良く、クリア後の演出のあのなんとも言えない余韻はとても感慨深かったことだけは挙げることができます。あと、クリア報酬は非常にウハウハです、それが持ち帰れるかどうかは置いておいて

勝手がわかったうえでもう一度プレイすればキャラクターごとの分岐含めそれなりに楽しめる気もしますが、こんなのもう1周やるくらいならその時間を労働に回したほうがよっぽど楽しいと思うのでもうやることはないでしょう。

難易度が高いわけではなく、ただただストレス要素が多すぎるというだけのDLC。

ちなみにセーブデータ次第ではある場所で詰む可能性があります。事前にスピーカーを解除しておかないと絶対にゲームオーバーが確定する場所があるのですが、一度入ってしまうとその時点で戻れなくなるため、どうあがいても突破できなくなります。

Honest Hearts

大自然を舞台に、そこで暮らす部族の平和を取り戻すために運び屋が立ち上がる。脅威から逃れるのか、それとも立ち向かうのか。

自然豊かなマップを駆け巡ることになるため、新鮮な気持ちで散策することができました。マップの規模としてもかなり広く、用意されたロケーションの数も豊富なため、その分クエストも多かったのが印象的でした。

最終的なルート分岐があり、どちらを選択するかで結末が変わるのですが、戦う決断をしたほうが個人的には納得の行く終わり方になったかなと思いました。

3と比べて景色豊かになった本作ですが、このDLCがまさにそれを象徴している気がします。

ちなみに本DLCに関しては開始早々にある行動をすることによって諸々のクエストを省略し、あっという間に終わらせることもできます。それをやってしまうとただただマップを端から端まで往復するだけの作業と化すため何の面白みもなくなりますが、10分程度で大量の経験値を得られるので、ただの稼ぎと見ればありかもしれません。

Old World Blues

戦前の研究施設へテレポーテーションした上、意識を失っている間に体を改造され脳味噌を人質に取られてしまい、それを取り戻すために運び屋は研究施設を駆け巡るという内容。

イントロからしてアレですが、かなりコメディ色の強い内容でハチャメチャで面白かったです。Fallout2の雰囲気を個人的には感じました。

世界から隔絶されてしまった研究施設が舞台ということで、ここでしか入手できない科学技術が数多く眠っており、一通りクエストをこなすと主人公を大幅に強化することができます。また、クリア後はボタン1つでテレポートしてこれるので、機能が十二分に揃った拠点としても活用できるのが嬉しいところ。

家具が喋ったり、自分の脳と対話することになったりとトンデモ空間が繰り広げられたり、最初と最後で見方がぐっと変わる展開が待ち受けていたりとストーリーも面白く、個人的にはDLCの中でも一番楽しめました。

Lonesome Road

運び屋である主人公によって人生を大きく狂わされた「もう一人の運び屋」との戦いを描くFPSのキャンペーンモード的なDLC。

ステージは一本道であるものの、出現する敵がデスクローを筆頭に強力であるため、DLCの中でも難易度は高め。

本編では語られることのなかった主人公の過去が明らかになったり、これまた出てくることのなかった他の運び屋という存在が全面に出てくるなど、最後のDLCらしい内容で良かったです。

ステージの荒廃っぷりが3を思い出すレベルで凄まじく、NVでは味わうことのできなかった迫力満点の舞台を進んでいくのが非常に楽しめました。

最後の一騎打ちや、ルート分岐による共闘など熱い展開もあるため、さながら劇場版のような雰囲気を味わうことができます。

また、本作のコンパニオンであるED-Eがストーリーに大きく関わってきますが、このED-Eがなぜか非常に可愛いのも魅力の一つ。無機物なのになぜか可愛い

良かった点

ロールプレイングゲームとしての面白さ

前作Fallout3も非常に面白かったですが、個人的に本作のほうが面白いと感じた点がRPとしての面白さでした。

会話一つ取ってみても、発生する選択肢が非常に多い。スキルの値によって会話を有利に進めることのできる選択肢を取ることもできるようになったり、逆に地雷を踏んでしまったり。クエストにおいても解決法が複数用意されており、どの手段を用いたかによって結果が変わったり評判に影響したりと、自分の選択次第で世界が変わっていくさまが面白いのです。

各地に点在する勢力にはそれぞれ評価が用意されており、プレイヤーの行動次第で印象が変わります。最初こそ中立ですが、その勢力にとって良い行動をとれば露骨に扱いが良くなったり、逆に敵対してしまうと出会った瞬間銃を向けられたりと、各勢力とのお付き合いが重要になっていきます。八方美人として平和に旅をしたい人もいれば、自分の理念に従って付き合う勢力を選ぶこともできるのです。

また、ステータス振りによって主人公の能力が全く異なっていくのもRPを促進しています。戦闘用のスキルを上げて、武力による解決をメインに進めることもできますし、会話に役立つスキルを伸ばしていけばハッタリで成り上がることだってできます。

特にSpeechスキルに関しては会話の選択肢に現れる機会が非常に多いこともあり、やり方次第では最初から最後まで主人公の手を汚すことなくクリアすることさえできたりします。自分は全ルートをクリアしたあとに「もしかしてやろうと思えばいけるんじゃ?」と思い試してみましたが、本当に口先だけでエンディングを迎えることができました。

プレイヤーの方針次第でクリアまでの道のりがガラッと変わる面白さこそが本作の魅力でしょう。

イベントの豊富さ

3をプレイ済みの状態で本作をプレイしたため、全体マップを開いたときに「あれ、一回り狭くなってる?」と思い、本作のボリュームに不安を感じたのをよく覚えています。

しかし、いざプレイしてみるとロケーションごとの密度は3よりも濃く、用意されたイベントも豊富になっており、アドベンチャーとしては3のほうが探索の面白みはありましたが、本作のほうが人との関わりが多く感じられました。

クリアだけを目的とするならば全体の5%ほどしか訪れることはないと思いますが、そんなクリアに影響しない場所でさえもしっかりとイベントが用意されており、ロケーションを埋めていく作業がただただ歩くだけの作業にはならずにイベントを楽しむことができたのが非常に満足感を得られました。

無人となった廃墟でも、残された要素から背景が推察されるような場所もあり、中でも印象的だったのがVault11です。入口に残された4人の遺体とホロテープから始まり、vaultを探索していくうちに次第にここで起きた出来事の全貌が明らかになっていくという驚き。これだけで映画1本分作れるんじゃないかと言えるほどの真実が待ち受けているのですが、その内容に関してはあまりにも……なのでぜひプレイして確かめてください。

武器の種類が豊富

3と比べても圧倒的に使用できる武器の数が増えており、加えて改造パーツにより改造も行うことができるようになったため、戦闘面での面白さが上がりました。

前作まではまともに運用するのであれば最終的に使える武器は本当に数えるほどしかなかったと言ってもいいくらいでしたが、本作では多数のユニーク武器の存在や改造要素の追加によって、プレイスタイルに応じて数多くの武器を実用的な性能で扱うことができるようになり、これまたRPとしての楽しみが増えています。

特に銃弾の種類が複数用意されたことの恩恵は大きく、3では実弾系は最終的に貫通面で不利であることからエネルギー武器を使いがちになっていましたが、本作ではAP弾を使用することで実弾でも固い相手に有効打を与えられるようになったため、エネルギー武器一択ではなくなりました。

追加DLCのGRAを入れることで更に種類が増えるため、武器に自分の好みを無理なく反映しやすくなったと感じました。

気になった点

バグ、フリーズの多さ

本作の悪い点の大部分はこれです

とにかくプレイしていてフリーズ、クラッシュ、無限ロードによって強制的に落ちることが多発します。3でもけっこう気になる点ではありましたが、本作の落ちっぷりはその比ではなく、安定化modを入れていないバニラ状態でプレイすると冗談抜きで10分おきに落ちます。

正直、プレイ開始時は面倒なので日本語化mod以外は入れなくていいや、と思っていたのですが、あまりに落ちるせいでやる気が大きく削がれてしまい、さすがに入れざるを得なくなりました。

ただ、それでも落ちます。

安定用に複数modを入れた現在では最初ほど落ちなくはなりましたが、機嫌次第で今でも10分に1回は落ちますし、安定していると言っても1時間プレイして落ちなかったことは一度もありません

ファストトラベルしていざ歩き出したらフリーズ、ドアを開けたらフリーズ、ようやく安定してきたなと思ったらロード画面から動かなくなるなどなど。

本作をプレイすると5分に1回のセーブ癖が確実に付くレベルでこのフリーズ・クラッシュと付き合うことになります。

自分は1からFalloutをプレイしてきて、その面白さに惚れ込んでいるからこそ仕方なく受け入れていますが、じゃあこれをFalloutシリーズをプレイしたことない人が経験したらどう思うかなんてのは言うまでもないわけです。

中盤までの露骨な一本道

ゲーム開始からメインクエストを進めるうえで、マップ上では北と南のルートが用意されています。ここで目的地への距離を考えると圧倒的に北から進んだほうが早いのですが、それだと都合が悪いということで露骨すぎる対策が用意されています。

それが北への道にデスクローとカサドレスを配置するというもの。どちらも最強クラスの敵であり、開始時に出会ったらどうあがいても勝てない存在です。北へ進ませたくないというのは理解できるのですが、そのための手段があまりにもあからさまなこと、正規ルートの南回りがぐるっとマップを1周する羽目になるルートであるという点がプレイしていてなんだかなぁと感じざるを得ません。

ただ、そうしないと開始早々に本編の前半部分が丸々省略されて後半が始まってしまうため、そうしたい気持ちも理解はできます。まぁ熟練の運び屋はだからこそ北へとひた走るわけですが

また、マップを探索するうえで明らかにおかしいと感じるのが行けそうで行けない傾斜が多すぎること。ここを通れたらスムーズだし、この程度の傾斜ならどう考えても通れるだろうと思う場所がなぜか通れなくなっていることが多く、そのせいで目の前にあるのに遠回りするしかないという状況に多々出くわすことになります。

総じてこれでオープンワールドは無理があるだろ、と感じるはずです。

総評

1,2とプレイしてきた人にとっては思わずニヤリとできる要素が多く、取れる選択肢の多さ、人との関わりをメインとしたイベントの多さと、個人的には本当に面白いゲームであることは間違いないです。

ただ、ただそれでもあまりにもフリーズが多すぎる。そのせいで萎えたことは数え切れません。とてもじゃないけど擁護できるレベルではないです。面白いのにおすすめできないし、したくないというなんとも歯がゆい内容なのが悲しいところ。

それでも海外だとシリーズ屈指の高評価を受けている辺り、海外のプレイヤーはTRPG的なゲームプレイに重きをおいているのかもしれません。

Falloutシリーズをプレイするなら間違いなく4でいいし、4の後は3でいいと思えるくらいには厳しい落ちっぷりを見せる本作ですが、このフリーズクラッシュ地獄に足を踏み入れる覚悟があるのであればぜひプレイしてみてください。それを乗り越えたらきっと楽しめるはずです。

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